養護教諭の求人を探すにあたり、まずは養護教諭を取り巻く状況や採用事情を理解しておきましょう。
近年、子どもたちが抱える心の問題は多様化し、深刻化している状況です。報道でよく取り上げられるのはいじめや不登校などの問題ですが、これに加えて児童虐待や発達障害による集団生活の不適応など、保健室に訪れる子どもはさまざまな問題を抱えています。養護教諭は一つの学校につき一人のみ配置されることが多いのですが、健康問題を抱える子どもが増えてきたことから一人だけでは対応が行き届かないケースも増えつつあります。
こうした状況の中、一人ひとりに対してきめ細かなケアができるよう、養護教諭の複数配置を求める声も大きくなってきました。「公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律」には、養護教諭は3学級以上の小・中学校に1名の配置と記されています。複数配置が可能なのは児童が851人以上の小学校と生徒が801人以上の中学校であり、大規模校でしか認められていません。少子化が進む中で子どもの数が急激に増える可能性は限りなく低いことから、多くの現場では複数配置の基準人数を引き下げるように求めています。この取り組みが今以上に活発化し、養護教諭の複数配置を認める学校が増えていけば需要はさらに伸びていくでしょう。
現状、養護教諭の競争倍率は高めです。一般教諭よりも人数が少なく、公立学校における教員採用試験の倍率は特に高い状態です。なお、令和元年度の採用試験においては、採用倍率は6.3倍となっています。前年度が6.7倍であることから多少は減少しているものの、一般教諭の採用倍率と比べるとやはり高い数字です。年度によって採用人数は異なりますが、おおよそ全国で1,100人~1,400人程度で推移しています。そのため、養護教諭の正規採用は厳しい道であることを理解しておきましょう。子どもの数が少ない地域は学校数も少なく、退職者も少ないため倍率はさらに高くなります。
養護教諭を目指す人の多くは、自分が子どもの頃の養護教諭に対する何らかの思い出を持っていることが多いです。過去に、自分が病気や怪我をした際に保健室の先生が助けてくれた、いじめを受けて悩んでいた際に相談役として話を聞いてくれた、といった記憶です。
採用試験については自治体によって多少内容が違ってきます。面接も、個人面接か集団面接かは学校によって異なります。そのため、事前にどのような内容の採用試験なのかを確認し、対策する必要があるでしょう。面接で主に質問されるのは、「養護教諭を目指した理由」「養護教諭に必要なもの」「どのような保健室運営をしたいと考えているか」といったものです。これもスムーズに答えられるよう、あらかじめ回答を準備しておきましょう。
養護教諭になるためには専門資格を取得する必要がありますが、看護師としての経験を活かしてキャリアチェンジすることも可能です。ここでは、資格の取得方法や必要課程を学べる教育機関を紹介していきます。
養護教諭の求人は数が少ないため、求人が出た際には即座に応募できるように準備しておかなければなりません。そこでおすすめなのが、専門知識を持ったキャリアアドバイザーがサポートしてくれる転職エージェントの活用です。
養護教諭は怪我や病気を抱える子どもたちの処置ももちろんですが、心の問題や児童虐待にも向き合います。子どもの健康を管理するマネージャー的な存在として、一般教諭とは異なる重要な役割を担います。