養護教諭の給与事情を知っている人は少ないでしょう。一般教諭とはどのように違うのかも気になるところです。
まず、養護教諭の給与は雇用先や雇用形態によって異なります。公立学校に採用されるためには、各自治体が開催している教員採用試験に合格しなければなりません。7月~9月頃に開催され、年内に合格の可否が出ます。公立学校で働く場合の給与は、地方公務員と同様に自治体によって定められています。一般教諭との間に給与の差はありません。大卒初任給だと22万円程度からスタートします。ここから税金や社会保険料を控除された金額が手取り額となります。臨時的任用講師として採用される場合は20万円~25万円程度からのスタートです。ただし、講師は昇給の上限が定められているため、35万円程度が限度額となります。なお、パートタイムでの採用はほぼありません。
一方、私立学校で採用される場合、経営が安定しているところなら給与は右肩上がりです。40代で年収が1,000万円を超えるケースも少なくありません。公立学校の場合、年収は800万円程度が限界です。しかし、経営の苦しい私立学校の場合だと公立学校よりも給与が少なくなる可能性があります。また、一般教諭と養護教諭の間で給与に差が出る場合もあります。私立学校は基本的に成果主義であり、進学実績が大きく影響します。養護教諭は教科を受け持たないため、進学実績に直接関与することはありません。そのため、公立学校と同額程度の給与設定であることも多いようです。なお、生徒数が多い私立学校では養護教諭を複数採用していることもあり、その場合はパートタイムでの採用もあります。
転職して養護教諭になった場合ですが、給与の設定方法については公にされていません。しかし、養護教諭に関連する正規採用の職歴がある場合は加味されるという話をよく聞きます。例えば、小児科で働いた経験がある看護師の場合、子どもの健康に関わる職業であるため、その経験を加味されるかもしれません。前職が考慮された場合には25万円~30万円程度からスタートすることが多いようです。
賞与は公立学校であれば6月と12月の年2回支給されます。金額は年間の給与のおよそ4ヵ月分です。臨時的任用講師にも賞与は支給されますが、パートタイムには支給されません。各種手当において大きな額を占めているのは地域手当です。例えば、東京都は全都道府県の中で最も地域手当が高く、基本給の17%程度が支給されます。なお、他の自治体は7~10%程度であることが多いようです。また、修学旅行の引率や部活動の指導に充てられる特殊業務手当もあります。
養護教諭になるためには専門資格を取得する必要がありますが、看護師としての経験を活かしてキャリアチェンジすることも可能です。ここでは、資格の取得方法や必要課程を学べる教育機関を紹介していきます。
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養護教諭は怪我や病気を抱える子どもたちの処置ももちろんですが、心の問題や児童虐待にも向き合います。子どもの健康を管理するマネージャー的な存在として、一般教諭とは異なる重要な役割を担います。